(115)ダウン

 赤いダウンに腕をとおしたら
 それは素敵な季節のはじまり

 おなじみユーミンこと松任谷由実「雪だより」の出だしです。初冠雪が伝えられる季節になると、よく聞いている曲です。

 数年前の冬のこと。お洒落に敏感な親友が「今のウェアは、これだよ」と、昔の航空兵が着るようなボコボコしたジャケットを身に着けて現れました。「軽くて、とても暖かい。君もそんな古ぼけたコートをやめて、これにしたら?」

 調べてみると、このウェアは30年ほど前にアメリカで開発され、日本では1980年代に「アメリカン・カジュアル」(American casual、俗に「アメカジ」と呼ばれる)としてヒット商品になり、防寒性と実用性から若者を中心に普及していったものです。

 では「ダウン」とは何か? 調べてみると「ダウンフェザー」( down feather )の略で、これを中に詰めジャケット風にしたもの。

 down であれば「下の羽」か? 不思議に思い、辞書をめくってみると、“ down ”「(特にガチョウ、アヒルなどの)若鳥に最初に生える柔らかい綿毛」、さらには「防寒用にキルトなどに詰める」とあります。

 なるほど、これでは暖かいはず。雪の日の農家。納屋で子どもたちがアヒルの毛に埋もれ、首だけ出してじゃれ合っているシーンはよく外国映画で見かけます。あの柔らかい毛が「ダウンフェザー」なのだと、初めて知ったしだい。

 羊の毛から生まれる毛糸「ウール」( wool「ウル」と発音)と、水鳥たちの綿毛を使うダウンのどちらも、特に英国で好まれるジャケットの素材です。

 我が国には防寒着として昔から「ちゃんちゃんこ」などがあります。どちらが暖かいか、それは「ダウン」と「ちゃんちゃんこ」を着比べて、雪の街を歩いてみなければ分かりません。

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年11月28日(火)石巻かほく掲載】


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