俳句(11/25掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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明るさを障子に求め読書かな  (石巻市相野谷・武山昭子)

【評】立冬が過ぎ、いよいよ日短しの感が強まってきた。そんな午後のひととき。何となく暗さを覚えて本を読みながら立ち上がる。明るさを求め行き着いた先は障子のそば。ふっくらとした柔らかい光線の下が読書には最適だった。この句が詠んでいるのは場所を替えるために動いたことだけ。だがこの動きによって外の日差しの強弱なども見えてくる。無意識に近いこんな行為の中にこそ季節の移ろいが隠されている。

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山間の紅葉且つ散る夕の宿  (東松島市矢本・雫石昭一)

【評】「紅葉且(か)つ散る」は晩秋の季語。且つは一方ではという意味。初冬の季語「紅葉散る」とは違う。紅葉が色づく一方で、先に紅葉した葉が散り始めるという風情だ。山あいの宿に展開する鮮やかな光景。

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残菊や色とどめつつ枯れゆきぬ  (石巻市中里・川下光子)

【評】次第に枯れゆく菊。さながら冬眠するようにと捉えた「色とどめつつ」が巧み。この措辞には慈愛のあたたかさも見えて、季重なりも苦にならない。

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病室の大きな窓や小鳥来る  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

【評】秋に渡って来る小鳥は、大きな鳥と違い山地から低地を移って来る。木があれば街中にも色鮮やかな姿を見せてくれる。病室の窓辺に届いた励ましだ。

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わびさびを語らいながら柿熟す  (石巻市恵み野・木村譲)

紅葉坂見上げて拝す立石寺  (石巻市南中里・中山文)

去りがたく又ふり返る紅葉山  (石巻市和渕・丁子タミ子)

木洩れ日のひかりの音や新麹  (石巻市開北・星雪)

しみじみと秘湯の宿のにごり酒  (東松島市矢本・紺野透光)

コスモスの石井閘門風止みぬ  (石巻市中里・鈴木登喜子)

来し方の懺悔ふくみし黄葉散る  (石巻市中里・鈴木きえ)

杖銀杏てふ名木の照黄葉  (仙台市宮城野区・佐々木征子)

漆黒の稜線美しき冬落暉  (石巻市蛇田・末永くにゑ)

冬銀河観音像と話しをり  (東松島市あおい・大江和子)

冬がまたレーキで遺品捜す浜  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

潮騒や砂利の音冴え秋日暮  (石巻市門脇・佐々木一夫)

磯の香や礼拝堂はそぞろ寒  (石巻市相野谷・戸村昭子)

新そばの旗の色濃く最上川  (仙台市青葉区・狩野好子)

この隅と決めて野菊の健気かな  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

干柿ののれん出迎え里帰り  (東松島市矢本・菅原京子)

【2017年11月25日(土)石巻かほく掲載】

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