ギャップ(村上穣司)

水紋

 あなどるなかれ、と言うべきか。

 女川町で1日に販売が始まったカップ酒のことである。

 瓶の表面には、町の公式キャラクターの「シーパルちゃん」が描かれ、180ミリリットル入りで340円の値段と合わせると、誰がどう見ても土産物。だが、酒造会社の意気込みがすごい。「中身重視で造ってます」と。

 日本酒は容量が小さいほど、品質管理が難しくなるといい、特別純米酒のカップ酒の保存法は冷蔵厳守。しかも税法の関係上、販売店の通販も難しく、土産物のヒット商品にはなりにくそう。

 けど、味が気に入った。

 酒造会社が「女川の魚介類にも合う」と太鼓判を押すカップ酒は、さっぱりとした味がぐいぐいと杯を進ませた。確かに刺し身にも合い、小一時間もするとすっかり出来上がってしまった。

 見た目とのギャップは、人にも感じている。

 10月から、石巻かほくの読者コラム「つつじ野」に原稿の執筆を依頼している女性のことである。東日本大震災後、牡鹿半島に移住し、ホヤと女性の乳房をモチーフにしたかぶり物を活用して、まちおこしをしている。

 小柄で言動が突っ走る「リトルモンスター」を自称する彼女に原稿を依頼した時、「何を書いても大丈夫ですか?」とおどけていたが、原稿は芸術への造詣や、震災の復興へ向かう姿勢、自身の披露宴に込めた思いなど趣旨に富み、とても勉強になっている。

 良い意味で見た目を裏切ってくれると、小気味いい。

(村上穣司)

【2017年11月14日(火)石巻かほく掲載】


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