足跡(河北新報社石巻総局・関根梢)

水紋

 女川町の商業エリアの一角で4日に開かれた「お地蔵さまの市」にお邪魔した。町内の子育て世代や高齢の女性たちが子ども服や手作りの雑貨を持ち寄って開いた小さな市に、町民らが次々と集まって来て和やかに言葉を交わす。

 街に血が通っていく様を目の当たりにした感覚だった。

 2015年のまちびらき以来、JR女川駅前のプロムナードは多数のメディアが取り上げる「町の顔」になった。毎週末のようにイベントが開かれ、多くの観光客でにぎわう。

 一方で「新しい商店街は町外の人向けでしょ」と距離を置く町民の声も耳にしてきた。

 東日本大震災の復興事業で姿を現した新しい街と、古くから女川に住む町民の心をどう結び付けるか。その答えの一つを、お地蔵さまの市に垣間見た気がする。

 「まちづくりは、人づくり」と、学生時代に師事した教授がよく口にしていた。当時はピンとこなかったこの言葉の意味が、女川町に身を置くとすんなり理解できる。

 昨年12月に石巻総局に赴任してから間もなく1年がたつ。ハマテラスがオープンし、町庁舎が着工し、きぼうのかね商店街が浦宿浜での営業を終えた。目まぐるしく変わりゆく町に、町民の足跡が一つ、また一つと刻まれていく瞬間を目撃する度に胸が熱くなる。

 私はこの1年で、いくつの足跡を記せただろうか。取材予定が書き込まれた手帳をめくりながら、いま一度自分を奮い立たせる。

(河北新報社石巻総局・関根梢)

【2017年11月9日(木)石巻かほく掲載】


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