(110)WASP

 去る8月12日、アメリカ東部バージニア州シャーロッツビル( Charlottes-ville )で白人至上主義グループと反対派が衝突し、多くの死傷者が出たという事件は、まだ記憶に残っていることと思います。

 「アメリカ・ファースト( America First =アメリカ第一主義)」を掲げるトランプ氏の登場で、「クー・クラックス・クラン(KKK)」、「ネオナチ(neo-Nazism)」など、白人至上主義者たちが勢いづいていることが背景にあると言われています。「米国を白人の手に取り戻せ」がこれらの団体のスローガン。

 では、アメリカは、もともとどのような「白人の国」だったのでしょうか?

 私は、学生時代に出合った「ワスプ」(WASP)という言葉を思い起こします。White Anglo-Saxon Protestant(ホワイト、アングロ・サクソン、プロテスタント)の頭文字を取った造語で、米国における白人支配層の保守派を指します。

 つまり、アメリカでエリートになるには次の三つの条件を満たす必要があるというものです。
 White(白人)。
 Anglo-Saxon(アングロ・サクソン系の人種)。
 そして、宗教改革によって ローマ・カトリック教会に反抗して生まれた Protestant「プロテスタント(新教徒)」であること。

 元来、WASPは北西ヨーロッパにルーツを持ち、米国建国の“主役”となった人々を意味します。やがてほとんどの白人支配層を指すようになりましたが、今日では過去のものになりつつあるようです。

 近代のアメリカ人は西欧各地からの移民の血を受け継いでいて、その中にはイタリアなどのカトリック国からの移民も多いことは映画などでご存知でしょう。

 ちなみに、かのJ.F.ケネディ大統領は白人ですが、先祖はアングロ・サクソンではなくてアイルランド人、プロテスタントではなくカトリック教徒です。

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年10月24日(火)石巻かほく掲載】


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