(109)古希

 私事で恐縮ですが、来る10月20日で70歳の馬齢を重ねることになりました。「そうですか、古希ですか」と知人から言われるたびに、思いは複雑です。

 還暦のときは、高校時代の友と温泉に1泊。同期生のお坊さん3人の祈祷を受け、そのあとは飲めや歌えの大宴会…。

 今度は様子がだいぶ違います。「もう70か。よくぞここまで…」。こんな思いが心をよぎります。

 そんな折、このコラムの熱心な読者から尋ねられました。

 「英語に『還暦』とか『古希』というのはあるんですか?」

 ふいをつかれた質問で答えに窮し、いろいろ調べた結果、これらに相当する英語はないということが分かりました。

 ご存じの通り、干支は紀元前1400年頃に中国から伝わったと言われています。「甲、乙…癸」の十干と「子、丑…亥」の十二支の組み合わせで、その数は全部で60通り。そして、60年で干支が一回りし、生まれ年の干支に戻ることから「還暦」と言うようになったとのこと。

 そこへいくと英語はきわめて単純。

 「還暦」は ” sixtieth birthday ” つまり「60回目の誕生日」、「古希」は ” seventieth birthday “「70回目の誕生日」というように続きます。「喜寿」「傘寿」「米寿」と仰々しくも格調高い日本語の表記と比べると、味も素っ気もない感じがしますが。

 ただし、英語には「結婚記念日」を大事にする習慣が。

 結婚25周年は silver wedding「銀婚式」、続いて30周年は pearl wedding「真珠婚式」、そして50周年 golden wedding「金婚式」へと続きます。これらはいずれもイギリス発祥だと言われています。

 佐藤愛子さんは「90歳。何がめでたい」(2016年、小学館)と豪語されました。私がその年になるまで、あと20年。頑張って生きて「何がめでたい」と言ってみたいものです。

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年10月17日(火)石巻かほく掲載】


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