スタチン(河北新報石巻総局・古関良行)

水紋

 健康診断の数値が気になる。食事は不規則で、飲み会が多く、ヤバイと思いながら、体重計の目盛りが増えていく。

 「スタチン」という薬をご存じだろうか。血中コレステロール値を下げる治療薬。まだお世話になってはいないが、世界中で3000万~4000万人が服用している。「世界で一番売れている薬」とされる。

 スタチンの原形の物質を発見したのが、東北大特任教授の遠藤章さん(83)。この季節になると遠藤さんのことが気になる。ノーベル賞を受賞するのではないか、と毎年うわさになるからだ。

 郷里秋田の大先輩。由利本荘市の農家に生まれた遠藤さんは、祖父から「勉強して野口英世のような立派な人になれ」と言われて育った。

 進学した定時制高校の授業は土日だけ。平日は両親らと農作業に汗を流した。あるとき、「ハエトリシメジ」というキノコに興味を持つ。ハエには有害だが、人は食べられておいしい。その成分を一人で研究した。

 その姿を見た先生の推薦で全日制高校へ編入し、東北大農学部に進んだ。貧しいながらも勉強好きな若者を周囲の多くの人が応援した。

 大学を卒業後、製薬会社に入社し、留学した米国で「コレステロールに気を付けよう」というテレビCMを見て、世に役立つ研究を決意。スタチン開発につながる。

 ノーベル医学生理学賞の発表は2日。この原稿が掲載される3日には結果が出ている。果たして…。

(河北新報石巻総局・古関良行)

【2017年10月3日(火)石巻かほく掲載】


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