(107)コーヒー・ブレイク

 「このへんでお茶にしない?」
 「そろそろコーヒー・ブレイクとするか」

 「お茶」や「一服」という日本語は「休憩」の代名詞として用いられてきました。「お茶が入りましたよ」という言葉には、心安らぐ響きが感じられます。

 そして、いつの頃からか、同じく「休憩」を意味する英語「コーヒー・ブレイク」( coffee break )が登場し、カタカナ語として定着しています。もっとも、英国などでは「お茶の時間」という意味では「ティータイム」( teatime )がよく用いられますが。

 一方、「休み」とは異なる「ブレイク」( break )がメディアをにぎわしています。「この夏、ブレイクすること間違いなし!」「香港で大ブレイクした」など。この「ブレイク」は「大流行」「爆発的人気」という意味です。

 「休憩」と「大流行」、break にかなりかけ離れた意味があるのはどうしてでしょうか?

 break は中学で習う基本単語の一つで、普通は「壊(こわ)す」「壊れる」などと訳します。ところが、辞書をよく見てみると、「折る」「破る」「砕く」「割る」などにも相当する言葉であることが分かります。

 このうち、「折る」は「ひと続きのものを途中で断つ」「中断する」ということですから、「コーヒー・ブレイク」の「ブレイク」は「(継続した仕事などを)中断すること」、つまり「中休み」を表すのです。

 「ブレイクする」の「ブレイク」は、break の「突然の出現」という意味に由来。地中に溜まったマグマが、突然、地殻を破って吹き出す…そんなイメージです。

 “ Give me a break! ”という会話表現があります。映画でもよく耳にするセリフで、直訳は「わたしにブレイク(一休み)を与えてくれ」ですが、字幕には「いい加減にしてくれ、聞き飽きた」などと出ます。

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年10月3日(火)石巻かほく掲載】


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)