俳句(9/30掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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寺継がぬ四人姉妹につづれさせ  (東松島市矢本・紺野透光)

【評】つづれさせはコオロギのこと。晩秋、気温が下がるにつれてゆっくりと鳴く。昔の人はその声を「肩刺せ、裾(すそ)刺せ、綴(つづ)れ刺せ」と聞きなして、着物のほころびを直して冬に備えたという。そんないわれのある古い季語と、現代社会に自由に生きる四姉妹との取り合わせが何とも新鮮だ。

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アセチレンガスの匂ひ懐し佞武多の灯  (石巻市相野谷・戸村昭子)

【評】上五は8音。作者の郷里は青森なのだろう。戦後、祭りの照明にアセチレンガスの使われた時代があった。祭りの熱気に身を浸すたびに、今はないあの匂いを感じ取っているのだ。匂いがきっかけとなって何かを思い出す句は数多いが、この句は反対に匂いがよみがえってくる構図。そこに独自性がある。

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背負籠の海鞘の雫や海の道  (石巻市向陽町・佐藤真理子)

【評】真夏の道の真ん中に点々と続いている水滴。背負籠いっぱいに積まれた海鞘から滴り落ちた海の水だ。「雫や」の措辞には躍動感と旋律が見える。

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豊水の山と積まれて十符の里  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

【評】秋空を背景に重そうな豊水が積まれている。有名な地名が句座に据えられ、古俳句にも通じるような趣がある。おおらかな調べの一句。

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薄紫に鎮もる夕べ蘆の原  (石巻市蛇田・末永くにゑ)

裏木戸のきしみの聞ゆ竹の春  (東松島市矢本・雫石昭一)

裁判を謹聴したる残暑かな  (仙台市宮城野区・佐々木征子)

ダリ展へシャトルバス席初紅葉  (石巻市中里・川下光子)

吊忍鈴を鳴らして風の旅  (石巻市門脇・佐々木一夫)

朝日浴び畔ふさぐほど稲垂れて  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

木犀の香にさそわれて廻り道  (石巻市和渕・丁子タミ子)

秋桜や惚けし母の笑み少し  (石巻市中里・鈴木登喜子)

長雨にたえし夕べの花芙蓉  (石巻市南中里・中山文)

濃竜胆挿して息づく備前焼  (仙台市青葉区・狩野好子)

秋暑しジョッキの洞のまた並ぶ  (石巻市開北・星雪)

鬼灯やキュッと鳴らせば亡母の笑み  (石巻市小船越・三浦順子)

彼岸花一輪挿しに和を極む  (石巻市中里・鈴木きえ)

向日葵や人はぐつたりへたり込む  (石巻市駅前北通り・小野正雄)

新涼やメガソーラーの田んぼ跡  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

秋空や一気に昇る飛行隊  (東松島市あおい・大江和子)

【2017年9月30日(土)石巻かほく掲載】

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