(106)ミサイルとイージス艦

 たいへんな時代になってきました。「北」が我が国の上空をかすめて太平洋上に向けてミサイルを発射する、さらには水爆実験にも成功し「日米何するものぞ」と脅しにかかる…。

 「レッド・オクトーバーを追え」( The Hunt for Red October、1984年)で、一躍有名になったアメリカのスリラー作家トム・クランシー( Tom Clancy )の作品のタイトルを借りれば、「いま、そこにある危機」( Clear and Present Danger/1989年)そのものです。

 さて、この「ミサイル」という物騒な武器の名前の由来を探ってみましょう。

 実は、「送る・放つ」を意味するラテン語の mittere(ミッテレ)が語源なのです。さらには、「使命」を表すおなじみ mission(ミッション)もこのラテン語に由来。「送ること」→「使節」「派遣」→「(使節の仕事として)使命」というつながりです。

 キリスト教系の学校のことを「ミッション・スクール」(これは和製英語のようです)と呼びますが、この場合の「ミッション」は「布教」です。キリスト教者にとっては、布教こそが神から付託された最高の使命でしょうから。

 さて、「北」のミサイルを迎撃すべく日本海に派遣されるのが高度な情報処理システムを備えた「イージス艦」ですが、この「イージス」という言葉はギリシャ神話に由来します。

 神々の王のゼウス( Zeus )が、その娘の女神アテナ( Athena )に与えたという盾「アイギス」( Aigis )… あらゆる邪悪・災いを払う魔除けの力を持つとされ、後に「イージス」と発音されるようになりました。

 あらゆる悪を払いのける能力を有する「イージス」… その魔力で、最大の悪である戦争をこの世から消し去るのは夢のまた夢なのでしょうか。

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年9月26日(火)石巻かほく掲載】


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