政治家の姿(浜尾幸朗)

水紋

 元首相の羽田孜さんが8月28日に他界(82歳)した。自民党が初めて野党に転落した1993年夏の衆院選。選挙直前に自民党を離党し新生党を結成、非自民による連立政権を樹立した立役者。先輩記者と顔立ちが似ていたことなどから記憶に残っている。

 関わりのあった人たちからは「信頼できる弟のような存在」「決断したら筋を通す純粋な男」「人柄は温厚篤実に尽きる」などと悼む声が相次いだ。

 河北新報に掲載された共同通信編集局次長・石井達也氏の評伝によると、羽田さんは「ミスター政治改革」と呼ばれ、どんな質問にも真正面から答えてくれる人だった。

 在職日数は64日。総辞職せず解散・総選挙に打って出る道もあったが、こうと決めたら一直線の人は「ここで解散すれば政治改革が振り出しに戻ってしまう」と辞任を選んだ。誰に対しても気さくで威張らず、決して政治家風を吹かせない「偉大な普通の人」だった。

 信頼できる人だったからこそ、多くの仲間が行動を共にし政権交代を実現できたのかもしれない。「首相が信頼できない」と支持率が上がらない安倍政権とは対照的だ。

 閣僚や国会議員の資質が問われている今、政治家のあるべき姿と言えよう。政治理念と信念を持ち、果敢に行動する。決断したら一直線に進む。決められない政治は、政治の停滞を生む。そして、何より大切なことは人間性である。政治家を目指す人は肝に銘じてほしい。

(浜尾幸朗)

【2017年9月7日(木)石巻かほく掲載】


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