災害と観光(菅野健寿)

水紋

 東日本大震災からの復興が進むにつれ、被災地が取り組む観光振興について考えることが多くなっている。

 「噴火ラーメン」という一品を見つけたのは、3年前、雲仙・普賢岳噴火災害があった長崎県島原地方を訪れた時のこと。店のショーケースの目立つ位置に、噴火を見立てて盛り付けたラーメンが飾ってあった。

 43人の死者、行方不明者が出た1991年の大火砕流発生から二十余年、現地では今、災厄を逆手に取ったいろいろなご当地メニューや土産品が売られている。ラーメンの他に、ひもを引くと温かい蒸気が出てきてその場で食べる「噴火まんじゅう」、刻んだジャガイモを山のようにルーの上にトッピングした「溶岩ドームカレー」も。

 年月を経るごとに島原の災害記念館を訪れる観光客は激減しているという。その過程で生まれた、噴火をアイテムにした観光興し。したたかさとともに、地域再興にかける住民の強い思いも伝わってくる。

 石巻地方では防災学習を軸にした教育旅行という概念で観光を考える機運はあるが、将来、島原と同じように災害そのものを商品化する時代も来るのだろうか。

 そんな思いを巡らして現実に返ると、地震や津波を冠した商品など今は想像すらできないことに改めて気付く。島原と東日本で、被害の範囲や程度が違い過ぎることもあるだろう。そもそも、災害と観光は結び付きにくいものなのだから。

(菅野健寿)

【2017年9月5日(火)石巻かほく掲載】


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