俳句(9/2掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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復興の地に轟くや大花火  (東松島市あおい・大江和子)

【評】自宅で眺めるのが常だった花火。久しぶりに間近で見上げた。そばまで連れ出してくれたのは街にあふれる復興という活気。万感の思いを込め打ち上げられる光の大輪。夜空に広がる輝きに一瞬遅れて届く音。光と音の関係を理解していても、その大音響には身をすくめてしまう。中七の「轟くや」が深い。この一語に、臨場感とともに復興への願いなど思いのすべてが乗る。

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蜩や疵痕残る墓の列  (仙台市青葉区・狩野好子)

【評】大震災は至る所に爪痕を残した。多くの墓地も被害に見舞われている。墓参に来たのだろう。ここには傷のついた墓が並ぶ。夕暮れが迫ってカナカナと蜩(ひぐらし)が鳴き始めた。墓石の傷を慰撫(いぶ)するように。

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引き揚げの無蓋貨物車終戦日  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

【評】時間がたっても風化しえない記憶がある。これは敗戦後、外地からの引き揚げであろうか。屋根のない貨物車に乗せられた幼い記憶。ずしりと重い。

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八重雨をはがしてきたり蝉しぐれ  (石巻市井内・高橋健治)

【評】八重雨とは降りしきる雨のこと。そんな雨でも鳴き続ける蝉。短い命ゆえ、少しの雨などお構いなし。蝉たちの命の叫びは雨音など消し去ってしまう。

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帰省駅変わらぬ古き時計かな  (東松島市矢本・雫石昭一)

背泳や空の碧さに吸い込まれ  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

躍動の夏手袋や甲子園  (石巻市南中里・中山文)

かごめかごめ一本道の彼岸花  (石巻市中里・川下光子)

マンホールに魚の絵あり秋日和  (東松島市矢本・紺野透光)

久々の日傘に余る立話  (石巻市向陽町・佐藤真理子)

方角は家の跡地か遠花火  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

梅雨晴や月山頂上雲一つ  (石巻市中里・鈴木登喜子)

秋冷の吾妻小富士は笠の雲  (石巻市相野谷・戸村昭子)

白百合の香や折紙のマリア像  (仙台市宮城野区・佐々木征子)

青天の暗夜にぽつり夜焚舟  (石巻市門脇・佐々木一夫)

参道に人待ち顔のまんじゅしゃげ  (石巻市大門町・三條順子)

凌霄や狂女のように散り落ちて  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

生き物の死は一瞬にして雲の峰  (石巻市駅前北通り・小野正雄)

雷鳴や大正生れ蚊帳の中  (石巻市和渕・丁子タミ子)

はしゃぎたる孫も成人揚げ花火  (東松島市大塩・木村はるみ)

【2017年9月2日(土)石巻かほく掲載】

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