(102)アルプス・スタンド

 第99回全国高等学校野球選手権大会。連日、熱戦が繰りひろげられています。

 そんな中、ジャーナリストの田原総一朗氏が8日、母校の彦根東高校(滋賀県)が勝利したことに「まさに歴史的な出来事である」と感激をツイッターでつぶやいたと報じられました。政治や国際情勢についての辛口の論客として知られる田原氏の一面を見た思いです。

 さて、甲子園球場と言えば、「アルプス・スタンド」。英語の Alps stand かと、大きな辞書に当たっても載っていません。日本の誰かが命名したのかと調べた結果、とても感動的なことと出合いました。

 昭和4年の夏、改装されたばかりのスタンドは、高校野球を観戦する白いシャツのファンで埋め尽くされた。これを見た漫画家の岡本一平が、漫画とともに朝日新聞に次の一文を寄稿したとのことです。「ソノスタンドハマタ素敵ニ高ク見エル、アルプススタンドダ、上ノ方ニハ万年雪ガアリサウダ」(岩波文庫『岡本一平漫画漫文集』のカバーより)。まさに絶妙な呼称ですね。

 さて、「スタンド」。英語の動詞では“ Stand up!”(「スタンダップ!」=立て!)などでおなじみですが、「立つもの」ということから「台」「屋台」「売り場」、さらには野球場などの「観覧席」という意味も表します。

 最後に「ガソリン・スタンド」について。このカタカナ語は「和製英語」の代表格と言えます。gas station(ガス ステーション)あるいは filling station(フィリング ステーション)が正しい英語です。また、イギリス英語では、「ガソリン」を petrol(ペトロール)と呼ぶことから、petrol station と呼びます。

 なお、station は「駅」でおなじみですが、この場合は「供給所」といった意味です。

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年8月22日(火)石巻かほく掲載】


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