俳句(8/19掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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流燈に絆一文字浮びをり  (東松島市矢本・雫石昭一)

【評】流れてゆく灯籠。その一つ一つに故人を悼む気持ちや先祖への感謝、大震災犠牲者へのメッセージなどが描かれている。絆と大書されているのが作者の灯籠。混み合っていた岸辺の難所を抜け出してやっと漂い始めた。流燈の光の本流に乗るまであと少しだ。状態の継続を表す「をり」が巧み。灯籠を追う作者の視線を示すとともに夕闇の深まりをも教える。

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大の字に寝て風鈴に眠りゆく  (石巻市開北・星雪)

【評】「大の字に寝る」のだから昼寝だろう。忙しさをしばし忘れて、まさに別天地で味わうのが午睡。その案内役が風鈴の音なのだ。中七の「風鈴に」には省略が効いている。確かに、寝落ち寸前の至福感の表現にはこまごまとした説明は不要だ。

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藍染の香りほのかや涼み台  (石巻市和渕・丁子タミ子)

【評】軒先の縁台での景かもしれないが「香りほのかや」の生き生きとした措辞から、藍染工房での写生とみた。藍がめの見える涼み台で一服。命の洗濯だ。

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黙祷の首に炎天波の音  (大崎市松山・佐々木博子)

【評】一読、終戦の日を思うがこれは7月の大震災月命日の句。黙祷(もくとう)のさなか首筋に力を感じた。暑さだけでは収まり切れないそのパワーを炎天と表現した。

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天心の少し陰りて残暑かな  (東松島市矢本・紺野透光)

静謐を纏ふがごとし夏衣  (石巻市中里・川下光子)

郷愁の心揺ぶる遠郭公  (石巻市蛇田・末永くにゑ)

跳び箱の真ん中あたり夏休み  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

初物の桃の実二つ白磁かな  (仙台市青葉区・狩野好子)

朝摘みと友の持ち来し茄子の紺  (石巻市南中里・中山文)

貝風鈴ふるさとに似た彩を選り  (石巻市桃生町・佐藤国代)

言訳を一つづつ消し髪洗ふ  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

井戸端に蛍一匹祖の国  (石巻市中里・鈴木登喜子)

万緑を百段のぼり無人駅  (仙台市宮城野区・佐々木征子)

核縛る条約成りて原爆忌  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

不老不死の木肌を見せて百日紅  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

夏霧や舳先に見張り鳴くかもめ  (石巻市門脇・佐々木一夫)

蝉の声カメラ向ければ止みにけり  (石巻市駅前北通り・小野正雄)

夏祭り紅緒の下駄の孫連れて  (石巻市元倉・小山英智)

茄子漬や旨く漬れと桶を振る  (東松島市あおい・大江和子)

【2017年8月19日(土)石巻かほく掲載】

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