俳句(8/5掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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夕焼けを語りあいたいひと遠く  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

【評】大震災の前は身近にいてくれたとても大切なひと。ふと思い出してその面影をたどると、目の前の夕焼け雲の中に消えてしまった。遠くに行ったひとと話すことのできないもどかしさ、切なさがにじむ。中七以下の口語表現が効果的に作用して、やりきれない胸の内がストレートに伝わってくる。

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鷺草や清書の前の一呼吸  (仙台市青葉区・狩野好子)

【評】下書きを重ねての本番。真っさらな紙の前で一呼吸置いて気持ちを静め、体内を集中力というエネルギーで満たす。美しいその所作は、鷺草の白い花のたたずまいと相通じるものがある。何事にも冷静沈着に当たるであろう作者の人柄をも物語っている。切字「や」の後の一呼吸も見逃せない。

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木の扉涼しさ招く書店かな  (石巻市中里・川下光子)

【評】「涼し」は秋ではなく夏の季語。暑いからこそ思いがけない涼は格別。涼の源は水や風ばかりではない。ここでは木の扉。視覚で感受する涼味もある。

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浮雲は軍馬のかたち終戦忌  (石巻市大森・横山つよし)

【評】戦争の道具として動員され、海外へ連れて行かれた馬たち。その多くは祖国日本に戻れなかった。多くの動物も犠牲になったことを忘れてはならない。

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太鼓橋まで片蔭を踏んでゆく  (石巻市桃生町・西條弘子)

ふるさとの水の匂ひの葭簾  (石巻市小船越・三浦ときわ)

草合歓をつけたる巫女の白袴  (石巻市相野谷・山崎正子)

この身とて風のひとひら盆の道  (東松島市矢本・紺野透光)

網に入りどんと居座る大海月  (東松島市矢本・雫石昭一)

雷去りて大口開けてカレー食む  (石巻市小船越・加藤康子)

味噌汁の楕円の豆腐雲の峰  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

朗々と経読む僧や夏の袈裟  (石巻市南中里・中山文)

置き去りの瓶に飛び込む夕立かな  (仙台市太白区・八重樫静子)

空蝉や神棚はこぶ六年目  (石巻市飯野・高橋芳子)

川岸の人声絶えぬ月見草  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

あるだけの命の彩を七変化  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

明易しライト落として朝刊来  (石巻市桃生町・佐々木以功子)

ジョッパリの意地の高さや立佞武多  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

梅雨の夜鞄の底の湿布薬  (石巻市中里・鈴木登喜子)

夏の星縄文の地さえうめつくす  (石巻市渡波町・小林照子)

【2017年8月5日(土)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

 募集要項は次の通りです。

 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。


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