(98)砂漠

 暑い毎日ですが、久しぶりにはるかに熱い映画を見ました。「アラビアのロレンス」( Laurence of Arabia、1962年・イギリス映画)。デヴィッド・リーン監督、ピーター・オトゥール主演の大作です。大学1年の時、東京は有楽町の映画館の大スクリーンで見て以来、最も好きな映画の一つになっています。

 新進気鋭の俳優ピーター・オトゥール( Peter O’Toole )の名演技にも魅せられましたが、目を見張ったのは砂漠の光景。気が遠くなるほど広大な砂漠に大きな太陽が昇る場面や、地平線の彼方の蜃気楼が次第に黒い人影となるシーンなど、圧倒的な迫力で迫ってきました。

 さて、「砂漠」というと、童謡「月の砂漠」に歌われているようなロマンチックな情景が思い浮かびますが、「大言海」(大槻文彦編集、昭和8年版)では「地、沙ノミニシテ、流水モ草木モナキ広大ナル原野ノ称」とあります。つまり、「荒漠としたところ」ということでしょう。

 ひるがえって英語では、砂漠は desert(デザート)と言います。これはラテン語で「見捨てる」を意味する deserere に由来。つまり、「見捨てられた土地」という言葉です。したがって、私たちがイメージするような「砂丘」が延々と地の果てまで続くものとは限らず、岩や瓦礫だらけの「荒野」も desert。

 例えば、西部劇でおなじみのアメリカ南西部のユタ州、ネバダ州などにまたがるモハーヴェ砂漠( Mojave Desert )などはサボテン( cactus )が点在するまさに荒涼とした大地です。

 さて、食事の後の「デザート」。これは dessert と s が一つ多いのです。発音も異なり、「砂漠」の desert は dEsert と最初の E にアクセントが置かれるのに対し、「デザート」は dessErt と後ろの E が強調されて発音されます。

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年7月25日(火)石巻かほく掲載】


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)