横並び(河北新報社石巻総局・関根梢)

水紋

 仕事に行き詰まると自然と書店に足が向く。例えば勉強が足りないせいでうまく取材ができなかった日の夜。力不足に打ちひしがれながら、本の力を借りて知識を詰め込む。焦燥感を紛らわす応急処置のようなものだ。

 しかし近年、多くの書店がいわゆる「売れ筋」や「話題作」で埋め尽くされ困っている。数軒はしごしても品ぞろえはほぼ同じ。心が満たされないまま店を後にし、ネットストアに逃げ込む。「町の書店」の減少は、行きすぎた平準化が一つの原因なのではないだろうかといぶかってしまう。

 片や、独自の手法で商機をつかむ店もある。盛岡市の書店は、書名をあえて隠して店員の推薦コメントを書き込んだカバーで覆った「文庫X」として売り出し、話題を呼んだ。客に良い本を届けたい、店員のそんな熱い思いに胸を打たれた。

 横並びのコンテンツでは人を引きつけられない。それは地域やイベントにおいても同様だ。

 牡鹿半島などを舞台にしたアートと音楽、食の総合祭「リボーンアート・フェスティバル2017」が22日、いよいよ開幕する。地方芸術祭は各地に先例があり、もはやその手法自体に目新しさはない。

 しかし、東北では類を見ない大規模な祭典だ。「牡鹿らしさ」を見極め研ぎ澄まして、突き抜けたイベントになってほしい。著名なアーティストの看板を借りた、51日間だけの打ち上げ花火で終わらせるわけにはいかない。

(河北新報社石巻総局・関根梢)

【2017年7月17日(月)石巻かほく掲載】


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