心に残る風景(河北新報社石巻総局・鈴木拓也)

水紋

 第3回いしのまき復興マラソンが17、18の両日、石巻市内で開催され、全国の市民ランナー約1500人が参加した。

 17日に行われたウオーキングの部は天候に恵まれ、澄み切った青空に誘われて参加者と一緒に約2時間歩いた。

 出発地は中瀬の石ノ森萬画館。まずは東内海橋を渡り、湊地区の路地に入った。津波被害を受けた一帯は土地区画整理で新しい家が建つ一方、昔ながらの家屋や雑草が茂る空き地も目立った。

 「昔はもっと家や店もあって人通りも多かった」。高校時代、毎日のようにここを自転車で通ったという高齢の男性が教えてくれた。

 その道を真っすぐ進むと、津波被害に遭って2014年春に現地で再開した湊中に到着した。

 「懐かしい」。今度は若い女性の声が聞こえてきた。尋ねてみれば震災直後、大阪からボランティアで訪れ、周辺の泥を片付け、湊中の炊き出しで腹を満たしたという。

 参加者それぞれ、心に残る風景がある。ゆっくり歩き、誰かと話すことで鮮明に記憶がよみがえるのだろう。

 歩きながら3年後、5年後、10年後を想像した。人のにぎわいは果たしてどうか。震災の風化は進んでいるのだろうか。

 人口減少が進む地域の将来は必ずしも明るい話ばかりではないだろうが、膨大な公費が投入されて整備される復興まちづくり。前向きな気持ちで新たな記憶を刻めるような街並み形成に期待したい。

(河北新報社石巻総局・鈴木拓也)

【2017年6月27日(火)石巻かほく掲載】


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