(93)キャリア官僚

 「加計問題」に関連して、渦中の人、文科省・前事務次官の前川氏の経歴がマスコミに取り上げられています。

 国家公務員試験I種という超難関を突破して事務方のトップである次官というポストに登り詰める… そこまで行かなくても「国家1種」に合格し採用された人は「キャリア(組)」と呼ばれます。いわゆる「エリートコース」に属し、官僚になると「キャリア官僚」です。

 普通、「キャリア」は「経歴」という意味で用いられます。「彼は並外れたキャリアの持ち主だ」のように。

 では「キャリア・ウーマン」の「キャリア」とは何でしょう?

 「四輪馬車」(ラテン語 carrus)… これが career のルーツ。 car(車)と同じ語源です。これが「車が競って走る道」となり、やがて「一生の行路」「経歴」を表すように。人は何かを生業(なりわい)としながら一生を送ります。「人生行路」とは、「職業」さらには「専門職」から「生え抜きの」を意味するのです。

 なお、 career は -eer にアクセントが置かれ、「ヵリーァ」のように発音されます。

 「キャリア・ウーマン」( career woman )は、もっぱら「職業経験が豊かで専門的な仕事をこなす女性」のことを指しますが、これを日本語に置き換えるとなると、結構難しいのです。「職業婦人」では古めかしい。「キャリア・ウーマン」はカタカナ語のお洒落効果による言葉かもしれません。

 100歳を過ぎても矍鑠(かくしゃく)として禅の教えを説かれた松原泰道老師(1907─2009年)の座右の銘は、「生涯現役、臨終定年」。「キャリア」とは人生そのものということでしょうか。

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年6月20日(火)石巻かほく掲載】


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