俳句 (6/10掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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目薬のしみる一瞬夏の雲  (石巻市向陽町・佐藤真理子)

【評】点眼のあと目を閉じる。そうして目薬が目にしみわたった瞬間、清涼感とともに夏の雲を感じた。再び目を開けたとき実際に夏の雲が見えたのかもしれないが、この雲は目を開く前に感じた夏の雲なのだ。点眼の中に見つけた感覚の世界を巧みに表現した。

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上品山(じょうぼん)に牛の放牧初夏の風  (石巻市南中里・中山文)

【評】繁殖用の雌牛たちが伸び伸びと駆けだしてゆく様子が見える。ここ上品山牧場は牛にとっても人にとっても未来形の喜びの空間。これから牛たちはこの広大な牧草地で、涼しさを味方に快適に過ごすのだ。この句の景のように、牛馬などを牧草地に放つことを晩春の季語で「牧開き」と言う。次はこの季語を使って伸びやかな放牧の風景を詠んでみてほしい。

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次頁を急かす子の手や柿若葉  (仙台市太白区・八重樫静子)

【評】幼子への読み聞かせ。同じ本を読んでやっていると大好きなページができる。となりから伸びてくる小さな手が愛おしい。美しい柿若葉が効果的だ。

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聖五月沼は大きな水鏡  (石巻市桃生町・西條弘子)

【評】目の前に広がる沼は、薫風と目の覚めるようなみずみずしい新緑を映している。これは間違いなく大きな水鏡だと感じた。その思いこそが詩的実感。

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梅雨の夜のパンタグラフに火花散る  (東松島市矢本・紺野透光)

おろされて曼荼羅となるこいのぼり  (石巻市小船越・三浦ときわ)

麦の香をのせたる風に包まるる  (石巻市桃生町・渡辺龍夫)

麦の穂の天を刺したる転作地  (東松島市矢本・雫石昭一)

老鶯の空高く置く貯水槽  (石巻市相野谷・山崎正子)

末黒野を視野一杯に昼の月  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

ハミングの昭和ひと桁田植唄  (石巻市大森・横山つよし)

浄土てふ停留所あり花の下  (石巻市相野谷・戸村昭子)

眼裏は落書自由新樹光  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

太鼓打つ汗の五人へ大拍手  (石巻市小船越・加藤康子)

被災地にひと知れず咲き散るさくら  (石巻市桃生町・佐々木以功子)

をちこちに五月の行事花火音  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

五月来る紙の兜に指アイロン  (石巻市中里・鈴木登喜子)

客として唐子の茶碗新茶かな  (石巻市中里・川下光子)

新緑の風の声援球を追う  (石巻市飯野・高橋芳子)

新緑の庭に立つ娘の笑顔かな  (仙台市泉区・米倉さくよ)

【2017年6月10日(土)石巻かほく掲載】

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