短歌 (5/6掲載)

短歌

【佐藤成晃 選】

===

小流れに桜は淡く散りゆけりふしぎなほどの重さも見せて  (石巻市桃生町・佐藤国代)

【評】桜の散りぎわを丁寧に描写した佳作。小川の水に散っていくはなびらを見て、そこにはなびらの「重さ」を見ているのだ。凡庸(ぼんよう)の目には見えない花びらの重さ。そのかすかな重さで桜の美を表現できるところに作歌の喜びが存在していることを知っている作者。ここまで来れば、「添削」の魅力にも取りつかれてしまっているのかも知れない。自分にしかできない表現の発見にこれからも挑戦してほしい。

===

デコポンのポンの部分の小さかり理由(わけ)ありという袋の中身  (石巻市南中里・中山くに子)

【評】デコポンの「ポン」の部分とはどこか。あの突起の所かと想像しながら鑑賞しているが、実は「ポン」は原産地を示している印(しるし)とも言われる。作者は自己流に「突起」の部分と決めて詠んでいるふしがあるのだが、それでも納得させてくれる面白さがある。店頭でよく目にする「理由あり」商品からよく短歌のタネを見つけたものだ。生活の中のどこにでも転がっているタネを独自の目で詠み取った佳作。

===

折り紙に指アイロンをあてながら楽しく集うふれあい会に  (石巻市相野谷・武山昭子)

【評】「指アイロン」という言葉が目をひく。折り紙にしっかりと折り目を着けるために強く押さえつけることを言っているのだと分かる。本来この言葉は、お化粧の世界の言葉かとも思うのだが、この歌の中では十分にこの歌の言葉として機能していると言える。お年寄りが集う会合で折り紙教室があって、先生の言うままに折った紙に指圧を加えながら世間話に興じているさまが想像される一首。

===

留守電話開ければ訃報(ふほう)の伝言なり重たき声は心に痛し  (石巻市丸井戸・高橋栄子)

平筒沼(びょうとうぬま)の浮き桟橋は花桟敷(はなさじき)渡りし人の肩にはなびら  (石巻市和渕・丁子タミ子)

卯月(うづき)過ぎ沖のかもめが集い来て恋が始まる港の岸辺に  (石巻市駅前北通り・津田調作)

朝焼けに追はれるやうに帰る舟海苔(のり)の香りにむせるがごとく  (石巻市門脇・佐々木一夫)

積乱雲今朝は出そうな晴天か二年の後の再診日なり  (石巻市恵み野・木村譲)

夜半さめて耳を起こせる雨だれに澄みと濁りの歳月ならべる  (石巻市開北・星雪)

市議選に候補者続々名乗り出て列記で書きたい五人の氏名  (東松島市・奥田和衛)

早咲きの八重の桜は開くらし走って来よと友の電話は  (石巻市丸井戸・松川友子)

生(なま)めかぶきざんでたたき湯の中へ海からいただく春の味です  (石巻市大街道・後藤美津子)

人知れず咲いておらんか廃校の校庭めぐる桜の花は  (石巻市駅前北通り・庄司邦生)

内海の波寄せ溜まりは塵筏(ちりいかだ)風の吹き様で西に東に  (女川町・木村くに子)

コンサートを楽しんでいるバラ園に選挙カー来て演奏止まる  (石巻市駅前北通り・工藤幸子)

入選の短歌を読みて無事を知る七十年前の師と我の道  (石巻市蛇田・千葉冨士枝)

湾に来て海の見えざる悲しさを防潮堤はなにも語らず  (女川町・阿部重夫)

出張の孫に土産(みやげ)と渡されぬ袋ぎっしり長葱(ながねぎ)のあり  (女川町・木村いよ子)

教へ子等七十五歳の同級会 飯坂よりの土産(みやげ)は桃菓子  (石巻市相野谷・戸村昭子)

たんぽぽがまばゆく光る草の道春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)生きる喜び (石巻市鹿又・高山照雄)

【2017年5月6日(土)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。

 募集要項は次の通りです。

 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係(短歌、俳句、川柳を明記)まで。連絡先は0225(96)0321。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)