空気(青山未来)

水紋

 「空気を読んではいけない」。総合格闘家の青木真也選手(33)の著書のタイトルである。インパクトある題に引き寄せられるように手に取った。

 青木選手は、早稲田大卒の元警察官という異色の経歴を持つ。青木選手と言うと、2010年大みそかの長島☆自演乙☆雄一郎選手との一戦を思い浮かべる人が多いかもしれない。この屈辱的な敗戦についても本の中で言及している。

 1ラウンド目が立ち技ルール、2ラウンド目が総合格闘技ルールという変則的な試合形式。青木選手は「空気を読まず」、時間を稼いだり、クリンチを多用したりしてまともに戦わなかった。動いたのは主導権が握れるはずだった2ラウンド目。寝技に持ち込もうとタックルしたとき、カウンターの膝蹴りを受けてしまい、KO負けした。

 青木選手は「世間の人が『あの青木真也』と言うときの『あの』はこの敗戦を指している。どんなものであれ『あの』を持っていることは選手としての僕の価値になっている」と言う。

 「大事なことは周りの評価に惑わされることなく、信念を持って仕事を続けること」

 どんなに批判があっても自分を曲げない芯の強さ。青木選手の格闘技に対するストイックさがにじみ出ている。

 空気の読めない人を「KY」と揶揄(やゆ)した時代もあったが、空気の読みすぎは自分自身が空気のような存在になるようなもの。青木選手までいかなくとも自分の意思は大切にしたい。

【2017年5月2日(火)石巻かほく掲載】


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