安息の地(白幡和弘)

水紋

 4年ぶりに石巻に戻り驚いた。石巻市が土地区画整理事業で整備した新蛇田地区だ。異動で離れる当時は田園風景が広がっていた。今や災害公営住宅と一戸建てが立ち並ぶ新市街地に変貌した。

 その一画に先日、郵便局が開局した。東日本大震災の大津波で全壊した石巻門脇郵便局が、移転新築で「石巻のぞみ野郵便局」と改称して業務を再開した。「被災し、移住された方々のお役に立ちたい」。局員は表情を引き締める。

 同局近くの災害公営住宅に住む無職鈴木満夫さん(78)。仮設住宅暮らしは長期に及んだ。「ここは便利で住みよく、快適だよ」。ようやく普通の日常を取り戻した。

 震災から7年目に入ったが被災地の復興は道半ばだ。復興の形が姿を現す都市部や市街地と比べ半島部などは歩みの遅さが際立つ。

 被害が甚大だった宮城、岩手の三陸沿岸の小集落では「震災前から人口減が進む地域が取り残されている」と復興格差を指摘する声が上がる。

 ある討論会の取材で、パネリストが「都内に住む友人から『人のいない被災地に巨額の復興費を投入していいものか』と言われた」と明かした。発災後の「絆(きずな)」の言葉は、もはや大都市では風前のともしびなのか。

 夜、新蛇田地区の各住宅の窓から漏れる明かり。「のぞみ野」「あゆみ野」。無情にも住み慣れた思い出の地を離れざるを得なかった被災者にとって、安息の地となることを切に願う。

(白幡和弘)

【2017年4月25日(火)石巻かほく掲載】


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