俳句 (4/15掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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黙祷の一分の闇東風の闇  (石巻市小船越・三浦ときわ)

【評】あの時間、追悼式の会場や職場、駅舎、路上などさまざまな場所で黙とうがささげられた。作者は戸外で目を閉じた。黙とうの闇の中で亡くなった方を思っていたら、闇の中に風を感じた。暖かいとまでは言えないが、春本番間近の希望を感じさせるぬくもりだった。下五の「東風の闇」がうまい。黙とうの中で見つけた自然の息吹を簡潔に表現している。

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蛇穴を出で復興の街あかり  (石巻市大森・横山つよし)

【評】3月下旬、この俳壇に投句されている方々にお会いするため石巻に行った。震災直後に数回行ったきりだったので復興の進んだ街の姿に驚いた。まるで長い眠りから覚めた心持ちだった。この句の蛇も私と同じように「まぶしい」とつぶやいたのだろうか。

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さざなみの一番乗りやいぬふぐり  (石巻市向陽町・佐藤真理子)

【評】まだ寒さの残る春先にいち早く咲きだす犬ふぐり。道端や庭先や畑などで所構わず仲間を増やす。さざなみのような勢いで大地を空色に埋め尽くす。

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ストローの向きをくるりと春の風  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

【評】飲み終えたグラスの中のストロー。残っていた氷がとけたせいか、春の風のいたずらか、向きが変わった。「くるり」の一語が明るい空間を思わせる。

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結んで開いて嬰の手といふあたたかさ  (石巻市桃生町・西條弘子)

草萌の奥へ奥へと児のあゆみ  (仙台市宮城野区・佐々木征子)

眠りからこの世にさめて桜どき  (石巻市蛇田・千葉冨士枝)

沖よりの流木もあり植木市  (石巻市相野谷・戸村昭子)

受話器より姉の誘いのよもぎ餅  (石巻市中里・鈴木登喜子)

風神に見入る子の背春日影  (仙台市青葉区・狩野好子)

制服に漸く慣れて木の芽晴  (東松島市矢本・紺野透光)

風の音に顔をあげれば山笑う  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

掃除機と這いずりまわり亀の鳴く  (東松島市野蒜ケ丘・山崎清美)

腰痛を庭へ連れだす下萌えて  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

今日の日の大事花種蒔きにけり  (石巻市小船越・加藤康子)

六年経し被災の原に春の風  (石巻市桃生町・佐々木以功子)

花満ちて夜風に揺れる人の波  (東松島市矢本・雫石昭一)

末黒野の雨に鎮もる蒼さかな  (石巻市蛇田・末永くにゑ)

すっぽりと夜に溶け込みし野焼跡  (石巻市相野谷・山崎正子)

地震の浜こうなご漁に湧き立って  (東松島市あおい・大江和子)

【2017年4月15日(土)石巻かほく掲載】

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