時と場所を超えて(河北新報石巻総局・古関良行)

水紋

 最近、夜は歌人の竹山広さん(1920~2010年)の『定本 竹山広全歌集』(ながらみ書房)を読んで床に就く。短歌は素人ながら、胸に迫る歌に夢中になる。

 本を手にしたきっかけは、「石巻かほく」文化面で短歌の選者を務める佐藤成晃さんの短歌教室。3月23日にあった教室で、佐藤さんは「歌ができる場所・時間」について、竹山さんの歌を紹介しながら解説した。

 竹山さんは25歳の時、結核で入院中の長崎市の病院で被爆した。退院予定日だったが、迎えに来るはずの兄は被爆し、亡くなる。

   <居合はせし居合はせざりしことつひに天運にして居合はせし人よ>

 阪神大震災を詠んだ一首。もし、その時そこに居なかったら…。原爆や東日本大震災にも重なって心に残る。

 迫る死をユーモアを交えて詠んだ作品もある。

   <医者に何といはれし妻か今夜から遮二無二横にきて寝るといふ>

 作品に触れて、「時と場所を超えていく短歌」とされる意味が少し分かってきた。自分と他者を透徹するような視線で見詰めて日常を詠み、そして普遍性がある。そんな気がする。

 先日は、国を痛烈に皮肉る歌に出合った。

   <原爆を知れるは広島と長崎にて日本という国にあらず>

 翌朝、新聞には「核禁止条約/日本、交渉不参加を表明」との見出し。う~む、思わずうなってしまった。

 気に入った歌を書き留めるのが日課になった。

(河北新報石巻総局・古関良行)

【2017年4月6日(木)石巻かほく掲載】


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