濡れ落ち葉(伊藤浩)

水紋

 夫「生きがいは女房」
 妻「いまさら言われても困る」

 そんな年配夫婦の会話を聞いた。

 「今まで感じたことはなかったけど、毎日居られるとうっとうしい」「家のことを頼んでも何もできない…」。ご婦人方から愚痴が聞こえてくる。夫が定年退職した世の奥さまたちの多くはそう感じているようだ。知人の奥さまたちも「そう」「そう」と笑いながら声をそろえる。

 耳が痛くなるような話だが、うなずける部分もある。

 書道、お香、絵画教室…。女性たちは多趣味で、お茶飲み友達もいて、出掛ける人は多い。

 男性たちは退職した途端何をしていいのか分からない人が少なくない。趣味を持つ人、友人が多い人たちは出掛ける機会があるものの、会社人間だった人たちは閉じこもりがちになってしまう人が少なくないようだ。

 3月末で定年退職した人たちは今、どうしているのでしょう。

 「年金をもらうまで働く」と再就職し、意欲的に働いている人たちもいる。

 かつては三世代家族が多かったが、核家族化が進み、孫と一緒に暮らす家庭は少なくなった。夫婦二人きりだと、おのずと会話も少なくなる。

 自由な時間ができ「さあこれから自分の時間を満喫しよう」と考えていた男性たちに、妻との良好な関係を保つという“難題”が待ち受けている。健康で暮らすためには妻の協力は不可欠。女房孝行という課題をどう克服していくのか。老後の課題となっている。

(伊藤浩)

【2017年4月4日(火)石巻かほく掲載】


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