俳句 (3/18掲載)

俳句

【石母田星人 選】

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空耳にあらず初音の奥の院  (東松島市矢本・紺野透光)

【評】奥の院は、寺社の本堂より奥にあって神霊や開山祖師などの霊を安置した場所。その森厳な参道にあって今年初めてウグイスの声を聞いた。何とも有り難い幸運を「空耳にあらず」と実感をこめて表した。

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鐘を撞く一打一打のあたたかし  (石巻市相野谷・山崎正子)

【評】鐘の音が全身に染み込んできたのだ。厳粛な音色は清らかな気分にさせてくれる。その心で周りを見ると萌えたつ草木。自然の摂理とともに生きている喜びをあらためて感じる。下五「あたたかし」は春の季語。暖かさを実感するのは春だけではないが、この言葉には「寒を乗り越えてやっと浮き浮きする季節を迎えた」という格別な思いがこめられている。

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佐保姫の目覚め誘うや滝の音  (石巻市蛇田・末永くにゑ)

【評】滝の音の変化に気付き、春の女神・佐保姫の目覚めを願う作者。姫の得意技は染色と織物。寂しい野山全てを桜色などの淡い色に染め上げてくれる。

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啓蟄や地球丸ごといのちなり  (石巻市駅前北通り・小野正雄)

【評】多くを語れないことが俳句の魅力と言われるが、詩的なひらめきがなければ一句の面目が立たない。掲句は中七の措辞ゆえに面目が立った。生命の讃歌。

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長閑さや馬の瞳に牧の草  (石巻市吉野町・伊藤春夫)

絵馬百の釣石神社春の風  (石巻市中里・鈴木登喜子)

地震の浜青き海原風ぬくし  (東松島市矢本・雫石昭一)

三陸忌すぎて三陸春とする  (石巻市恵み野・木村譲)

葦芽ぐむ音聴いている夫婦鳶  (石巻市相野谷・戸村昭子)

終日や耕しの音風の音  (石巻市広渕・鹿野勝幸)

お涅槃の背山は風の吹き溜り  (石巻市桃生町・西條弘子)

見つめあう親牛子牛春隣  (石巻市飯野・高橋芳子)

もぐら塚くづれそめたる雨水かな  (石巻市小船越・三浦ときわ)

出迎への岸壁走る春の湾  (石巻市中里・川下光子)

鶯へ口笛かえす山路かな  (石巻市和渕・丁子タミ子)

擂鉢をしっかと持つ子彼岸入り  (石巻市小船越・加藤康子)

この先は俳句を杖に山笑ふ  (石巻市大森・横山つよし)

ガラス戸のくもり気になる春の朝  (石巻市桃生町・佐々木以功子)

歳時記を膝にうたた寝春炬燵  (石巻市向陽町・佐藤真理子)

白梅のさきがけ咲くや凛として  (石巻市桃生町・渡辺龍夫)

強風にしがみついてる姫椿  (石巻市北上町・佐藤嘉信)

【2017年3月18日(土)石巻かほく掲載】

■作品を募集中

 短歌、俳句、川柳を募っております。皆さんの力作をお寄せください。募集要項は次の通りです。

 短歌、俳句、川柳とも必ずはがきを使い、1枚に3首・句まで。いずれも自作の未発表作品に限ります。作品は返却しません。

 作品と同じ面(裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)・住所・年齢(学年)・電話番号を記し、〒986-0827石巻市千石町4の42、三陸河北新報社編集部・文芸係まで。連絡先は0225(96)0321。


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