(78)卒業

 3月1日、宮城県内の公立高校で卒業式が挙行されました。ひと昔前まで式の締めくくりは「仰げば尊し」の斉唱。今ではほとんど歌われることがないようです。映画「二十四の瞳」(木下惠介監督 松竹 1954年)の卒業式のシーン… 子どもたちの清らかな歌声に言い知れぬ感動を覚えます。

 筆者はかつて、来日したアメリカの教授夫妻にこの歌を披露したことがあります。ハーモニカでメロディーを奏で、英訳した歌詞を渡しました。夫妻は、この古き日本の卒業式の定番ソングにいたく感じ入った様子でした。

 さて、「卒業」は英語で graduation(グラヂュエイション)と言うことはご存知でしょう。動詞は graduate で、ラテン語の“ gradus ”「階段」に由来します。おなじみ「グレード=階級」( grade )と同じ語源。つまり「階段を昇りつめ学科課程を終えた」というような意味の言葉です。

 半世紀ほど前、アメリカン・ニューシネマを代表する作品の一つ「卒業」(マイク・ニコルズ監督 アメリカ映画 1967年)の原題は“ The Graduate ”。DVDもない学生時代、最後のシーンを見たくて何度も映画館に通ったのを覚えています。

 実は、「卒業」を意味する英語がもう一つあるのです。

 主にアメリカの高校や大学では“ commencement ”(コメンスメント)と言います。commence とは「~を開始する」という意味。卒業とは「終わり」ではなく「はじめ」とする発想は見事ですね。

 今は亡き Apple の創業者スティーブ・ジョブズによるスタンフォード大学の卒業式辞 commencement speech の一節はあまりにも有名です。

 “ Stay hungry, stay foolish ”
「ハングリーであれ、愚かであれ」

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年3月7日(火)石巻かほく掲載】


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