(77)ファイア

 「ユーァ・ファイァド!」“ You’re fired! ”という言葉が流行語のようになっています。

 かつてアメリカのテレビ番組「アプレンティス」( The Apprentice )で司会をつとめていたのが当時、不動産王として名を馳せていたドナルド・トランプ氏。その決めセリフが“ You’re fired! ”「おまえはクビだ」です。apprentice は「見習い」という意味。

 そして、トランプ氏がこれを実際の政治の場で行ったことで世界が驚きました。

 先月30日、イスラム圏7カ国からの入国を一時禁止する大統領令に反対したイエーツ司法長官代行を解任。大統領に就任してわずか10日後に「有言実行」したのです。

 fire が「火」とか「火事」を表すことは子どもでも知っています。しかし、この言葉が「クビにする」という意味をも表すことは何とも不思議です。

 調べてみると、fire には「(弾丸などを)発射する」という用法もあることから“ You are fired. ”は「あなたは(弾丸のように)発射される」。砲弾の代わり社員を入れて「発射される」、「発射」して会社の外へバーンと追い出すイメージから「あなたは解雇される」となるようです。

 これは、もともとは口語表現だったようで、「解雇する」を表すフォーマルな英語は、dismiss です。“ He was dismissed. ”「彼は解雇された」のように用います。

 fire は「クビ」という日本語にぴったりといった感じかも。

 トランプ政権の今後の動向はしっかりと見守っていく必要がありますが、あまりに政治倫理にもとることをやっていると、支持母体の共和党、いやアメリカ国民から“ Trump, you’re fired! ”という声がさらに高まるかもしれません。

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年2月28日(火)石巻かほく掲載】


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