(72)お巡りさん

 このお正月、久しぶりで「夜の大捜査線」(1967年、アメリカ映画)を見ました。第40回アカデミー賞受賞作品で、当時の公民権運動を背景に制作された映画です。また、警察署長を演じるロッド・スタイガーが主演男優賞を受賞したことも話題を呼びました。

 舞台はアメリカ南部ミシシッピー州の小さな町。人種差別が激しいこの町で殺人事件が発生。偶然、捜査に加わった腕利きの黒人刑事ヴァージル(シドニー・ポワティエ)。頑固で無能な差別主義者の白人警察署長と住民たちの緊迫した対立関係を軸に映画は展開されます。

 殺人事件の容疑者として、駅で列車を待っていたヴァージルは身柄を拘束されますが、やがて殺人課の刑事であることが判明。

 「仕事は何だ?」とぶっきらぼうに尋ねる署長に、シドニー・ポワティエがきっぱりと、こう言い放ちます。“ I am a police officer ! ”「私は警察官だ!」。

 さらに、「名は?」と言う署長に “ They call me Mr.Tibbs. ”「皆、私をミスター・ティップスと呼んでいる」

 この台詞は、アメリカ映画の名セリフベスト100で第16位にランクインしています。

 警察官は英語で policeman と教わりました。この呼称は残っていますが、現在は police officer(ポリース・オフィサー)が一般的です。

 前々回、消防士が fireman から fire-fighter に変わったと記しましたが、同様に、女性警官( policewoman )の登場によって、「男女の別なく」という考え方から police officer という言葉が生まれたというわけです。

 この映画の原題は“ In the Heat of Night ”(夜の熱気の中で)。日本語に訳すのは至難の技ですが「夜の大捜査線」という邦題には、いささか違和感を覚えます。

大津幸一さん(石巻専修大人間学部教授)

【2017年1月24日(火)石巻かほく掲載】


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