打ち上げ(久野義文)

水紋

 鈴鹿景子さんの語り芝居が東京であった時、打ち上げに誘われた。共演した役者さんらに交じって参加した。部外者は私一人。居酒屋まで歩いたが、この人は誰だろうと思われたに違いない。

 乾杯の後、自己紹介となった。鈴鹿さんと同じ石巻市生まれで、今日は取材に来たことを告げると、皆さんの顔に納得の表情が広がった。

 さらに年齢も同じで、中学校も一緒だったことを明かすと驚いた様子だった。それ以上に興味を持たれたようだ。特に女優陣が詰め寄って来て、質問攻めにあった。

 「中学時代はどんな感じの女の子だったんですか」「男子に人気がありましたか」「気になる存在でしたか」などなど…逆に取材された。

 横から鈴鹿さんの事務所の鬼嶋さんが口を挟むものなら「お前に聞いていない」と一喝(いっかつ)。タジタジになりながらも、娘のような年代の女優たちに鬼嶋さんは父親のようにニコニコしていた。

 夏の公演時に集うだけだが、とても家族的だ。14年間、戦争と平和を訴えてきた語り芝居について議論が熱くなる時もあった。率直に言い合える雰囲気がいい。鈴鹿さんは、こんな素敵(すてき)な仲間たちに支えられているんだと、うれしくなった。

 ある日の同級生の言葉が浮かんだ。その男性はこう言った。「彼女の活動を伝えられるのは(同級生の中で)お前だけだぞ。よろしく」と。

 自分は記事で支える。地域紙の記者としての役割に、あらためて思い巡らせた。 

(久野義文)

【2016年11月3日(木)石巻かほく掲載】


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