されど漫画(久野義文)

水紋

 「秋田、岩手、福島、山形、新潟…」

 先日、漫画家の東村アキコさんが石巻市でトークイベントを開いた。その時、ファンがどこから来たかを、石ノ森萬画館の資料を基に、東村さんが読み上げていった。

 「東京、千葉、栃木、茨城、神奈川…」

 次の県名に、メモする手が止まった。

 「福岡」

 東村さん本人もびっくりしていた。ファンは熱い。距離も時間も、いとも簡単に超えてやって来る。約150席用意した椅子は満杯となった。

 こんな経験も何度かした。萬画館で入場者に話を聞くと、県外から来た人に当たってしまう。裏返せば、それだけ石巻に県外から人が入って来ているということ。

 東村さんのトークの時もそうだ。この機会に初めて石巻を、萬画館を訪れたファンの多さに驚いた。

 問題はここから。よそから来たファンを石巻市は、市民は、どのように歓迎してきただろうか。「マンガの街」とよく紹介されるが、実感としては萬画館のある街-だ。

 こんな質問もできる。これほどいろいろな県から人を呼べるものは、ほかにあるだろうか。

 漫画文化を発信し続けて15年になる萬画館。石巻がどこにあるかを知った全国のファンは少なくない。東日本大震災後、いち早く再開を望んだのも全国のファンだった。

 たかが漫画、されど漫画である。

(久野義文)

【2016年7月12日(火)石巻かほく掲載】


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