横断歩道にて(河北新報石巻総局・八木高寛)

水紋

 取材で東松島市内を車で回っていると、時折気付かされることがある。小学生の登下校中の礼儀正しさだ。

 信号のない横断歩道を渡ろうと待つ児童。こちらが車を止めると、急いで渡る。渡り終えるとほぼ全ての児童が振り返り、こちらに深くお辞儀する。駐車場の出入り口から道路に車を出す場合でも同様だ。

 「そこまでしてくれなくてもいいのに」と恐縮する半面「車を止めて良かった」と何か得をしたような気持ちにもなる。

 小学生の交通マナー向上を目指す市の施策があるのかと思ったが、そうではないようだ。市教育委員会は「お辞儀するよう指導する方針はないが、市内の小中学校で取り組むあいさつ運動がお辞儀に発展していった可能性はある」と語る。

 頻繁に通る道で出会う、お辞儀する児童たちが通う学校にも聞いてみた。「学校として、特にお辞儀するよう指導しているわけではない。ただ、上級生がお辞儀する姿を下級生が見ることで、文化が継承されているのではないか」と言う。

 子どもたちの自発的な行動は、交通安全に結びついているともいえる。市教育委員会によると、少なくとも東日本大震災以降、小学生の道路横断中における重大事故は発生していないという。

 気恥ずかしさもあり、大人はなかなかそこまでするのは難しいが、せめて児童のお辞儀を今後も見られるような車の運転はしたいものである。

(河北新報石巻総局・八木高寛)

【2016年6月30日(木)石巻かほく掲載】


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