下級生の涙(河北新報石巻総局・八木高寛)

水紋

 本年度で閉校する東松島市宮戸小(児童18人)の卒業式では、地域住民が一体となって最後の6年生3人を晴れやかに送り出した。

 強く印象に残ったのは、式のクライマックスで6年生だけでなく下級生までも涙を流していたことだ。折に触れ宮戸小の児童を取材してきたとはいえ、学校に直接関係のない私の胸にもこみ上げるものがあった。

 自身の小学生時代を顧みても、下級生として臨んだ卒業式で泣いた記憶はない。人数が少なく、みんなのつながりが強い宮戸っ子だからこその涙だったと思う。

 では、そのつながりの強さは、どのようにつくられたのだろうか。ある教員は「少人数の学級や学校では、児童の人間関係がこじれた場合、他に代わりを求められない。教員は、今ある関係を大切にするよう児童を指導してきた」と話す。

 そんな関係はある意味、家族にも通じる。学校を「大きな家族」と捉え、日々を共にする-。少人数の学校だからこそ取り組めた教育の成果が、下級生の涙から垣間見えた気がした。

 しかしながら、宮戸小は間もなく閉校する。地域から大きな家族が一つ、なくなることになる。「閉校は結局、地域が決めたこと」。ある住民の言葉が、その意味を深く問い掛ける。

(河北新報石巻総局・八木高寛)

【2016年3月29日(火)石巻かほく掲載】


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