カラヴァッジョと常長(久野義文)

水紋

 東京・上野の国立西洋美術館で「カラヴァッジョ展」が開かれている。

 徹底した写実性と劇的な明暗対比で、17世紀の画家たちに多大な影響を与えたイタリアバロック絵画最大の巨匠だ。

 この偉大な画家と、支倉常長らの慶長遣欧使節は実は同じ時代だった。

 年表も展示されていて1615年に「慶長遣欧使節、教皇パウルス5世に謁見」とあった。

国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」

目を引く「カラヴァッジョ展」の看板。後方の建物が国立西洋美術館

 残念ながらカラヴァッジョは、その5年前に38歳で亡くなっているが、「カラヴァジェスキ」と呼ばれる後継者たちを生みだしていた。

 バロック絵画という新しい風が吹く中、常長ら使節はローマ市内を巡ったのだ。

 カラヴァッジョと常長の共通点はこれだけではない。彼らに関わる重要な一族がいた。ローマで長く支配権を振るったボルゲーゼ家である。

 教皇パウルス5世はボルゲーゼ家出身。枢機卿が、おいのシピオーネで芸術に情熱を注いだ。カラヴァッジョらの作品収集に力を入れた。常長ら使節に馬車を差し回し、ローマを見物させたのも枢機卿だった。

 もしかしたら常長は、カラヴァッジョの絵を最初に見た日本人かもしれない。

 ことしは日伊国交樹立150周年。石巻市渡波にはサン・ファン館がある。慶長遣欧使節が見たかもしれないバロック絵画展、そんな想像力をかきたてる企画展も面白い。

(久野義文)

【2016年3月24日(木)石巻かほく掲載】


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