記憶を語り継ぐ(横井里花)

水紋

 東日本大震災から5年がたつのを前に、石巻かほくでは1日から「子どもたちの3.11」を掲載している。

 あの日、子どもたちはどう行動し何を考えたか。そして、今を生きる中で思うことは何か。記憶を記録に残すため、私は4人の中高生に話を聞かせてもらった。

 取材は、あの日地震が起きる前の話から始まる。語られる記憶は全てが現実だ。

 「後ろで黒い水が見えた。死ぬんじゃないかと思った」
 「助けられたときのことは全く記憶にない」
 「体育館の中は津波が渦巻いていた。着衣泳を思い出し、水に浮かんで耐えた」
 「電柱を越える高さの津波が見えた。地鳴りがずっと響いていた」-。
心を締め付けられるような思いだった。

 思い出せばつらくなる部分もあったはずだ。それでも記憶をたどり、懸命に話してくれた。そんな子どもたちの声を伝えたくて、時間を掛け、思いを込めて書いた。子どもたちとの出会いを通し、私自身も「未来を生きる人たちに震災を伝えていかなければ」という思いがさらに強くなった。

 震災を語り継ぐことは、あの日からの日々を懸命に生きてきた証しでもある。今はまだ語れなくても、話したくなったらでいい。被災地で生きる人々の記憶や声を発信していくことが、震災を風化させないことにつながると信じている。

(横井里花)

【2016年3月8日(火)石巻かほく掲載】


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