まあいいか(久野義文)

水紋

 書店で1冊の本のタイトルが目に止まった。

 「まあいいか」

 著者は女優の大竹しのぶさん、彼女のエッセー集だった。

 私が言ったら投げやりに聞こえるに違いない。が、大竹さんだと、全てを受け入れて前向きに進もうという、肯定的なイメージにとらえられるのでは。たぶん彼女のキャラクターによるところが大きいと思う。

 この本から、東日本大震災の被災地・亘理町を訪ねていたことが分かった。忘れたくても忘れられない体験をした「おじさん」との出会いが紹介されている。その上で大竹さんは自分自身に言い聞かせるようにつづる。それでも生きていかなければならない-と。

大竹さん著「まあいいか」、舞台「ピアフ」のチラシ

大竹さんの著書「まあいいか」(右)と、来月から公演が始まる舞台「ピアフ」のチラシ

 来月、彼女を間近に見ることができる。東京で彼女が主役を務める舞台が始まるからだ。作品は「ピアフ」。フランスを代表するシャンソン歌手エディット・ピアフを大竹さんが演じる。

 ピアフの歌に「水に流して」がある。フランス語のタイトルは「私は決して後悔しない」。

 劇のラストで歌われるようだ。それはピアフの生き方であり、大竹さんの人生かもしれない。

 後悔しないことも、生き方への責任も含めての「まあいいか」に違いない。それに明日も頑張れそうな力強さが、この言葉にある。大竹さんのように軽やかに使ってみたいものだ。

(久野義文)

【2016年1月26日(火)石巻かほく掲載】


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください