商店主の誇り(河北新報石巻総局・高橋公彦)

水紋

 東日本大震災で石巻市中心部に整備された仮設商店街「石巻立町復興ふれあい商店街」。年内閉鎖が決まっていたが、亀山紘市長は先日、1年間の延長を示唆した。

 70代の女性が1人で営む理髪店が商店街にある。再開発事業に伴って、昨年末に近くのテナントから移転。理髪用の椅子1台で客を迎える。

 女性は、再開発で来年9月に完成する新しいビルのテナントに再び入居する予定だ。「仕事を辞める時は以前の店でと決めている」と、完成を心待ちにする。商店街が設置延長になれば、他に移ることなく、このまま新店舗に入居できる。

 店は両親の代から約80年続く。夫が早世し、働き続けて3人の子どもを育て上げた。「今度は自分のために働こうと思ったら、震災が起きた」

 以前の店は津波で被災し道具も流された。一時は店を閉めようとしたが、「切ってほしい」と願う客の声に背中を押され、修理して再開した。

 「長年のお客さんに支えられて今がある。辞めてもいい年齢だけれど、仕事がいとおしい」と胸の内を明かす。

 「サラリーマンだけでは町は発展しない。小型店も買い物客への貢献はある」。震災を経てその思いは一層強くなった。「店を閉める最後の一日まで、精いっぱいお客さんを迎えたい」

 節々に商店主の誇りを感じた。

(河北新報石巻総局・高橋公彦)

【2015年11月17日(火)石巻かほく掲載】