かざみどり(久野義文)

水紋

 たまたま出た電話の声に聞き覚えがあった。向こうもこちらの声に気付いた。会社に掛かってきた1本の電話。それが二十数年ぶりに再会を果たすきっかけになった。

 日和山公園そばにある「かざみどり」。カフェであり、シュークリームがおいしい店である。店内にはシャドーボックスやレースドール、絵タイルなどが飾られている。工房でもある。その日も観光客らしい女性たちがおしゃれな店内に歓声を上げた。展示作品が女性経営者の手作りだと知るとさらに感激していた。

喫茶店かざみどり

日和山公園そばに誕生してから四半世紀近くがたつ「かざみどり」

 彼女こそ先の電話の人だ。鶯出孝子さん。

 初めてお会いしたのが、この店ができたころ。それが二十数年前。自分の工房を持ち、趣味を生かしたい。観光名所に憩いの空間をつくりたい。その夢が「かざみどり」になった。彼女のそんな生き方を記事にしたくて、あの日、取材にお邪魔した。

 再会した時、店は約80種類のバラに覆われていた。色とりどりに咲き誇るバラを世話し、店を手伝っている息子さんにもお会いした。時の流れを感じた。その間、東日本大震災もあった。それぞれの時を歩み、重ねてきて今の自分たちがいる。時の重み、早さに驚く。

 震災後、日和山公園を訪れる人は増えた。石巻が初めてという客を鶯出さんがもてなす。「かざみどり」も新たな「時」を刻み始めている。

(久野義文)

【2015年6月18日(木)石巻かほく掲載】