(8)厚い信頼受け健康守る

 石巻市田代島に向かう定期船の客室で椅子に横たわり、仮眠を取る市夜間急患センター所長佐藤仁人医師(52)の姿があった。夜勤明けだが、毎週火・水曜は仁斗田集落にある市田代診療所で島民の診療をする。同行する看護師は妻の郁さん(44)だ。

島民の健康を守り、信頼も集める佐藤医師

島民の健康を守り、信頼も集める佐藤医師


 「2日間で30人前後が診察に見えます。ほとんどが高齢者ですね。内科が基本で整形外科も少々。必要に応じて本土の医師を紹介します。島の人は本土の人に比べて風邪をもらうことも少なく、ずっと丈夫ですよ」と佐藤医師は語る。

 仙台市出身で、2001年から石巻の医療機関に勤務。08年7月に高齢で退いた前任の医師から診療所の仕事を引き継いだ。診療所にはエックス線装置や超音波診断装置、心電図などの設備がある。棟続きの居住棟に1泊しての診察行だ。

 「ドクターヘリも含めて、基本的にどんな救急にも対応できるようにはなっています。ただ、船もヘリも出せない荒天だけは、どうにもならない。そこが離島のつらさではありますね。幸い、これまでに急を要する患者さんに当たったことはないんです」

診療所の前は、猫たちの日なたぼっこの場所になっている

診療所の前は、猫たちの日なたぼっこの場所になっている


 診察待ちの人に聞くと、2週に1度のペースで来る人が多かった。診療の内容は電気治療、痛み止めの注射、持病の薬の処方など。郁さんは受付、薬出し、事務までてきぱきとこなす。掛ける言葉が朗らかで、診療所がぱっと明るくなる。

 「いい先生だよ。若いし、までぇ(丁寧)に診てくれる。話もよく聞いてくれる」と、患者さんたちの信頼は厚い。

 「感謝されているようなので、やりがいがありますよ。先端医療で貢献したい医師には向かないと思いますがね」。佐藤医師は静かに笑みを浮かべた。

(フリーライター・渡辺征治)=毎月最終日曜日掲載

【2015年1月25日(日)石巻かほく掲載】


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