(7)猫たち、たくましく生活

猫の救急箱

クレスさんが預けている猫の救急箱。抗生物質、目薬、下痢止めなどが入っている

 石巻市田代島の仁斗田漁港の田代浜共同かき処理場近くに、島の人が作った簡素な猫小屋が二つ据えてあった。こうした猫ハウスを、自宅の敷地内に作っている住民もいるという。

 晴れて日差しはたっぷりだが、気温は低く、風が冷たい日。小屋周辺の日だまりには、10匹前後が集っていた。これから最も寒さが厳しい季節。島の人に餌や魚をもらえることはあっても、一匹一匹に与えられるのではなく、小屋に暖房が効いているわけでもない。

 大きな魚の頭をめぐっての小競り合いも見かけたことがある。やはり強い者が餌に先にありつき、快適な場所も得るのだろう。野生動物の生存競争的な一面が、普通のペットよりずっと強いのかもしれない。

 田代島で出会う猫たちの中には、何らかの不具合がある猫も見かける。両目に膿(うみ)をためた個体、皮膚病で毛が一部抜け落ちた個体。くしゃみを繰り返す個体は、風邪をひているのだろうか…。そうした猫たちの健康を守る頼みの綱が、猫に餌をあげている島民の家々に備えられている。

猫小屋

仁斗田漁港の猫小屋。中に入れば冷たい風や雨はしのぐことができる

 ドイツ在住の獣医師クレス聖美さんが預けていった救急箱だ。クレスさんはこれまで年に数回、田代島の猫たちの巡回診療を実施している。

 手厚く飼われている飼い猫のような生活環境はそろっていないが、田代島の猫たちはたくましく生きている。生きることに真っすぐで、どこまでも純粋だ。それだけに「頑張って生きろよ」という励ましが湧いてくる。

(フリーライター・渡辺征治)=毎月最終日曜日掲載

【2014年12月28日(日)石巻かほく掲載】

 


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