(2)ロッジと農 夢描き移住

「猫も好きですよ」と大久保さん。マンガアイランド周辺には10匹ほどが居着いているという

「猫も好きですよ」と大久保さん。マンガアイランド周辺には10匹ほどが居着いているという

 石巻市田代島の仁斗田集落から高台に上る。海を見下ろす南斜面に、マンガアイランドのセンターハウスが見えてくる。道端の雑草は、きれいに刈られていた。菜の花だけは1本も傷つけずに残してある。

 マンガアイランドに着き、館長の大久保公一さん(40)に会う。昨年4月、仙台から移住した。「島に移ってきたタイミングで、前館長が退職されたんです」

 仙台ではビル内装業を経営していた。東日本大震災の翌年から田代島でボランティア活動に参加。その際、移住もできると島の人から聞いた。

 「いずれは田舎で就農という思いを温めていた。漁はしません。市農林課に新規就農者登録して、まずは自給自足的な畑を、いずれは田んぼもやりたい」

 かつて島の中央部には沢に沿って水田が開かれていた。現在はヨシ原と化しているが、その水田を復活させたいという。「養蜂もできると思う。天敵のクマやイノシシがいないから、きっと適地。まずは蜜源植物を増やさなければならない」

 菜の花を刈り残していたのは、大久保さんだった。

夏休み初日はあいにくの雨。晴れた日の大パノラマは、島ならではの爽快感が味わえる

夏休み初日はあいにくの雨。晴れた日の大パノラマは、島ならではの爽快感が味わえる

 夏休みに入り、この日はヨットのオーナーたちがロッジに泊まるという。キャンプ道具やコンロなどは有料で貸し出すが、食材は持ち込みがルールだ。

 「冷蔵宅配便で送ってくる人もいて、利用日まで数日の保管はできる。でも予約があればこちらが準備するような仕組みや、イベントもいずれつくっていきたい」

 島産の野菜やハチミツの提供、それらを使った特産品…。夢の話が弾んだ。少しずつ、ゆっくりと。島で多様な農を志す館長は策を練る。

(フリーライター・渡辺征治)=毎月最終日曜日掲載

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【マンガアイランド】
 2000年4月にオープン。里中満智子さん、ちばてつやさんらが猫をモチーフにデザインしたロッジ5棟とキャンプ場がある。センターハウス2階には多くの漫画家が描いた猫のイラストやサインを展示。自転車や釣り道具のレンタルもある。震災で一時休止したが、12年7月に再開。企業の寄付で設置された太陽光発電システム、急速充電器と電気自動車で、施設や島内活動の使用電力を賄っている。

【2014年7月27日(日)石巻かほく掲載】


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