ホヤ(今野勝彦)

水紋

 生のホヤがおいしい時季になってきた。ビールと一緒に口にすると、ともにマイルドな味わいになり、うまみを増す。生ものが苦手な妻も口にする。「癖があるけどおいしい大人の味」という感じで。

 気仙沼勤務時、取材した人気シェフの三国清三さんは「ホヤは甘味、酸味、しょっぱさ、苦みの人間の四つの味覚を感じられる唯一の食材。舌を鍛えることができる」と話していたのを記憶する。

ホヤの水揚げ

船上で、ホヤの水揚げをする生産者=25日午前6時25分ごろ、女川町竹浦

 東日本大震災ではホヤの養殖施設は大きな被害を受けた。出荷するまで最低3年はかかるだけに、「石の上にも三年」のつもりで生産者は頑張ってきた。

 出荷できる喜びを感じながら先行きの不安は隠せない。見込んでいた韓国への輸出は、同国政府が福島第1原発事故の汚染水漏れを理由に県内などの水産物を全面禁止にしているからだ。

 新たな販路開拓やホヤを食べる文化がない関西地方での売り込みを模索している。塩辛、酒蒸し、焼きホヤ…。食べて応援したい。

 4月から身がさらに肉厚になり、食べ応えも増す。間もなく新年度。歓迎会などでお酒を飲む機会も増えるはず。ぜひ新社会人には「癖があるけどおいしい」。そんな大人の味を堪能してほしい。復興に一役買うつもりで。

(今野勝彦)

【2014年3月27日(木)石巻かほく掲載】


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