〔3〕第1の謎 「正方形の謎」(中)

住まい探偵帖@石巻

目を見張る大きな神棚

 具体的に神山家の「正方形の謎」を追う。まずは、扉が三つの「三社宮」の神棚からだ。

 中央は伊勢神宮、右の内宮は地元の氏神・尾崎・久須師神社、左の外宮はご近所の神様を祭る。三つの引き分け戸を開けると正方形が三つ。いかにも御利益がありそう。

 この神棚には目を見張る。大きい! 15畳の和室の横いっぱい、二間半(約4.5メートル)の長さで堂々と鎮座する。

全18カ所に彫り物

 加えて、彫り物が見事だ。中央の唐破風に青龍、欄間に鶴2羽と龍、さらに太陽、月、鯛、海老、亀(玄武)、虎(白虎)、鳥(朱雀)と、何と10種類、全18カ所に彫刻がある。

イラスト

イラスト・佐々木麻衣

 彫刻にはそれぞれ意味があり、願いが込められている。まず、引き分け戸。右に太陽、左に月の彫り物の意味は何か? 右は東、太陽が昇る朝を意味する。左は西で日没だから月だ。「神様!朝から晩まで守ってください!」という願いが込められている。

 中央の宮の左右の戸袋には、右に「めでたい」鯛が上を向き、左の鯛が下向きだ。これまた太陽の回転を表し、昼夜いつでも吉を願う。

 内宮の戸袋は右に玄武、左に海老で、外宮の戸袋はその逆の配置だ。

 ここで四神の玄武が出た! 四神とは中国起源の天の四方の方角と春夏秋冬をつかさどる霊獣。東・春の青竜、南・夏の朱雀、西・秋の白虎、北・冬の玄武だ。玄武は亀だから長寿、さらに海や水から守ってくれる。海老は長寿の願いだ。

 左右の一番端に、右は朱雀、左は白虎の彫り物。これで、唐破風の青龍と合わせて四神が全部そろう。東西南北、あらゆる方向の無事安全、春夏秋冬、一年中、健康で家内安全、商売繁盛!誠に縁起がいい。

 ちなみに施主の神山捨松さんは明治元年の生まれ、えとは辰(たつ)だ。自分を青龍に見立て、唐破風に彫った可能性が高い。奥さんのきすよさんのえとは何か? 酉(とり)だとすると符合が合う。欄間の鶴がその酉だ。でも残念ながら未(ひつじ)だった。

全ての人幸せ願う

 この神棚は四つの回転、四つの宇宙を表している。高度な謎解きだが、絵を描けば見えてくる。

 さて、四季、四方、四神と四が三つそろった。これは、三つの正方形のお宮に対応、そして真四角な正方形を意味する。まさしく正方形の家の中心。そして九九の3掛ける4が12で、えとがそろう。全ての人の幸せを願うのだ。

 いささか出来過ぎのような気もするが、四方八方に気を配った素晴らしい神棚。こんな神棚見たことありますか?

(1級建築士・那須武秀)

【2014年3月9日(日)石巻かほく掲載】


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