街中の映画館(久野義文)

水紋

 金曜映画館に行ったことがありますか。石巻の街中で映画を見よう-と震災後に始まった上映会。会場は主にアイトピアホール。

 既存の施設を映画館に変えての上映会。入場開始の数時間前から準備に取りかかる。

 椅子を並べる。通りに面した側はガラス張りなので暗幕代わりに黒い大きなビニールを何枚も張る。雪が積もった日は歩道の雪かきに精を出したことも。

 会場づくりに励むのは金曜映画館のスタッフと市民有志。スタッフの知り合いの女性2人が、東京から手伝いに駆け付けた時は驚いた。横浜から応援に来る映画青年もいる。

 若いスタッフらの熱い思いが金曜映画館を形あるものにしていく。完成させるのは観客、つまり会場を埋める市民だ。

金曜映画館

チケットの受け付けに追われる金曜映画館のスタッフら=1月25日、アイトピアホール


 「早く、早く」

 1月の上映会だった。女の子たちの声が聞こえた。自転車でこぎ着けた。小学生たちだけで見に来たのは初のケースで一同感激。孫と来た女性も。大人も子どもも一緒に楽しい時間を共有した。会場では再会を喜び合う光景も見られた。被災した街中に、ぽっと、ぬくもりの灯がともった。

 映画を見るなら設備の整った劇場が最適なはず。でも金曜映画館に足を運ぶ市民が増えている。なぜ。すてきな魔法があるからだ。人と人の触れ合いを生む魔法に引き寄せられて来る。

 あすは9回目の上映会。作品は「ひまわり」。微力ながら手伝いに行こうと思っている。

(久野義文)

【2014年3月6日(木)石巻かほく掲載】


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