〔2〕第1の謎 「正方形の謎」(上)

住まい探偵帖@石巻

一般的に長方形が多い

 さて、謎解きの開始! 第1の謎・なぜ神山家は正方形が多いのか?

 その理由を探る前にちょっと確認。あなたの住まいを探偵してみよう。完全な正方形じゃなくてもいい。正方形はいくつあるか?

窓、ドア、ベッドは

 まず目に付くのは窓・ドアなどの建具類。洋風のはめ殺し窓は、正方形に近い。引き違いのふすまや戸が2枚なら正方形に見える。だが、圧倒的に長方形が多い。

 神棚、仏壇は? 神棚は無理だけど、仏壇が正方形に近いか? 最近は両方ともない住宅が増えているようだけど。

 システムキッチン、カウンター、机・ソファ、ベッドなどの家具類は? やっぱり長方形だ。だが、スツールが正方形に近いか?

イラスト

イラスト・佐々木麻衣

 視点を変えて部屋の平面(床の形)は? あった! 8畳間が真四角だ! でも、あまり正方形って感じがしない。壁際にたんすがあって8畳を全部使ってないからか?

 柱の断面は105ミリとか120ミリの立派な正方形だけど、普段の生活で柱を正方形と感じるのは難しい。

 この際、雑モノも見てみよう。テレビ、パソコン、スマートフォン、食器、絵画、カーテン、身の回りの小物…。キリがないが、やっぱりハンカチや積み木以外は長方形の王国だ。

 逆に正方形じゃなきゃ困る、正方形であるべきものは何だ? 考えてみて! すぐには思い当たらないけど、サイコロ程度でしょう。わざわざ正方形にしなければならない理由はあまり見当たらないのだ。

 ここで助け舟。神社、茶室など伝統の和風には正方形がちゃんとある。木連格子(狐格子とも言う)は縦横等間隔で、組まれた格子で入り母屋破風の下の格子や、建具などによく使用される。茶室のにじり口や炉、神社の垂木木口金具、ふすまの引き手など正方形が多い。

 にじり口とは、片引き戸の小さな出入り口。客が背をかがめて、にじるようにして入るのでこの名があるという。かの千利休が大坂枚方の漁家の小さな戸口から考案したという。高さ2尺2寸、幅2尺1寸程度でほぼ正方形。

 千利休設計の「妙喜庵待庵」は高さ2尺6寸1分、幅2尺3寸6分でやや高さが大きいが、肉眼ではほぼ正方形に見える。

換気口やお皿は円

 ちょっと寄り道。では円はどうか? 換気口、茶わん、コップ、お皿、メガネ、コイン、帽子など、探せば結構ある。明らかに正方形より円の方が多いのでは?

 住まいでは正方形はなかなか見つからない。神山家でたくさんの正方形を発見して、なぜ、驚くのか、ご納得いただけましたか?

(1級建築士・那須武秀)

【2014年2月23日(日)石巻かほく掲載】


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