古里(佐々木里花)

水紋

 東松島市小野市民センターで開かれた「ジャズと朗読を楽しむ集い」の取材で、同市出身の詩人、北原悠子さんに出会った。旧鳴瀬町に住んでいた幼少時代の話を基にしたエッセー集「風と空と-私が子どもだったころ」をはじめ、多数の詩集を出版している。

 現在、北原さんは仙台市に住む。今の古里は自分の記憶とは異なり、口では言えない寂しさがあるという。それでも「東松島の自然に育まれ、培ったものは自分の原点。自然の中で育たなければ詩も書かなかったと思う。自分の記憶の中の古里は震災でも奪えない。記憶はずっと残っていく」と話してくれた。

 私の家庭は転勤族だったため、「古里」と思っている場所は何カ所かある。幼かった頃は絵を描くのも好きだったが、外で遊ぶことが大好きだった。鬼ごっこで走り回ったり、滑り台などの遊具で思いっきり楽しんだり、畑の土や草花といった自然に触れたりして毎日を過ごした。

 そういえば、私の名前には「里」が入っている。ふと思い立ち、名前の漢字の由来を聞いてみようと母に電話した。

 「古里に咲くような、かわいらしい花をイメージした」と言われた。そのイメージとは離れて育ってしまった気がするが、一生懸命考えて付けてくれた名前。誇りに思っている。時には時間をつくり、自分の原点に返ろうと思う。

(佐々木里花)

【2014年2月13日(木)石巻かほく掲載】


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)