車窓からの眺め(及川智子)

水紋

 初めて訪れた場所で光がきれいだったりその土地ならではの営みを知ったりすると、「震災前にも来てみたかったな」と思うことがある。

 取材をしていると、親しんできた風景を惜しむ声が聞こえてくることがある。更地になった場所に何があったのか思い出せないことがあるし、復旧が進みどんどん変化する景色に驚くことも多い。

 東松島市にあるJR仙石線陸前大塚駅周辺の区間は、線路が海沿いを走るとても眺めの良い所だった。

車窓からの眺め

震災の数年前、仙石線車内から撮った松島湾の風景

 乗車したらできるだけ海と反対側の座席に座るようにしていた。眠ってしまって景色を見逃さないように、どんなに電車の揺れが心地よくてもその区間までは起きていたのを覚えている。

 海中の線路を車両がゆっくりと滑っていくかのような感覚と、窓枠のむこうを流れていく景色がとても好きだった。

 震災の影響でこの区間は現在運行されておらず、復旧工事が進む。近くの一部区間は内陸への移設が決まり、2015年の完成を目指しているという。

 何度も乗った電車なのに、一度しか写真を撮らなかったことが悔やまれる。移動には車ばかり使っているけれど、再開したらまた車窓からの眺めを楽しんでみたい。

(及川智子)

【2014年1月23日(木)石巻かほく掲載】


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