河北上品山牧場 (及川智子)

水紋
 石巻市営の河北上品山牧場で6月下旬から3年ぶりに牛の放牧が再開されている。11月までの約5カ月間で、現在は53頭の雌牛が山の上での生活を送っている。

 牧舎と違い広々とした場所で好きなように動き回り、リラックスできる環境に身を置くため、繁殖に向けた健康な体づくりができるという。夏期の農作業などで忙しくなる畜主さんたちにとっても大助かりだ。

河北上品山牧場

牛たちの様子を眺める畜主さん=河北上品山牧場

 入牧に必要な検査を受けた後、牛たちは環境に慣れるために牧舎から近い所で半月ほど生活し、その後さらに広い範囲に放される。

 ひもを解かれた牛は、すぐにどこかへ行ってしまうものかと思っていたが、初めはあまり牧舎から離れなかった。普段人間に飼われているので慣れるまでは人恋しく感じるようだ、とある畜主さんが教えてくれた。確かに柵の近くにいると、近寄ってくる牛もいる。

 牧草を食べたり思い思いに歩き回ったりする牛に「なんぼいんだべがぁ」という声が聞こえてくる。マスコミが引き揚げ始めた頃、畜主さんたちが牧舎の中から牛たちを眺め始めた。震災前には毎年見られたであろう光景を眺める後ろ姿はうれしそうだった。

 肉牛として出荷される牛を産むために行われる放牧の再開は、地域の営みの一部が取り戻された瞬間に立ち会えたような気がしてうれしかった。退牧までにまた様子を見に行きたいと思う。すっかり山の生活に慣れた牛たちの姿が目に浮かぶようだ。

(及川智子)

【2013年8月1日(木)石巻かほく掲載】

◇上品山 – 石巻市 http://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/10452000b/-kanko/-kankomap/d0080/20130224171342.html


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